企業同士のM&Aで中小企業の事業承継問題は解決できるか?

結論から言おう。99%は出来ない。

 

なぜか?理由は3つある。①規模、②統合、③買い手が主役、だ。

 

①規模

多くの大企業が、数1000億単位のM&A予算を持っていると、日々報道されている。

だが、これらのほとんどは、中小企業を対象にはしていない。(大企業間で、部門や子会社を売買するのが大半)。

 

なぜか?自分の立場に置き換えて考えてみれば、簡単にわかること。

たとえば、あなたが大企業のM&Aの責任者で、1000億円の予算を持たされたら、どうする?

文化も人材も質が異なり、管理体制も出来ていない、買っても手がかかる中小企業を、

1社1億円ずつ出して1000社買う?

それとも、お金はかかるけど、あとは簡単な1000億円の優良大企業を1つ狙う?

、、、まあ、私なら後者を取る。特に、サラリーマンだったら、なおさら(笑)。

 

それでも中小企業を買う?

また、「大企業はそうだろうけど、中小企業なら、中小企業を買うのでは?」

という質問も、よく受ける。

 

でも、そうすると、今度は本質的な課題が2つ出てくる。

「目利き」と「経営」が難しいのだ。

 

たとえば、トヨタの目利きは、私から見れば簡単だ。

 

有価証券報告書があり、決算短信があり、立派なIR資料がある。

優秀なIR担当役員が、KPIなどを図入りで説明してくれて、なんでも答えてくれる。

さらに、会計士が数字を監査して、外部取締役がガバナンスのチェックまでしてくれる。

 

同じ目利きを、中小企業、たとえば町工場でやったらどうなる?

 

社長に数字を聞いても、「税理士に聞いてくれ」だ。

(税理士に聞いたって、その数字も怪しいのです。誰も監査していませんから)

 

KPIはなんですか?と社長に聞くと、こう返事がくる。

「KPIって、なんですか?」・・・・。

 

仮の例として、もしトヨタを買収するとしたら、

弁護士や会計士の専門家集団を送り込めば、トヨタが完璧に答えてくれるから、目利きは出来る。

だが、中小企業に専門家を送り込んでも、回答が得られないから、目利きが出来ない。

中小企業の目利きには、独自のノウハウがいるのだ。

 

さらに、中小企業は、経営が難しい。

 

「コカ・コーラなら、ハムサンドウィッチでも経営できる」という名言がある。

私が尊敬するバフェット氏が発言し、当時年収20億を得ていた同社のロベルト・ゴイズエタCEOとの間で、一時揉めた。

 

その趣旨は、こういうことだ。

「コカ・コーラのように、朝に砂糖水をつくって道端の箱にいれておけば、

夕方には現金になっている、魔法のような強固なビジネスで、

圧倒的なブランドを持ち、ライバルを打ちのめすための資本も人材も豊富で、

かつ世界の人口が増え続ける長期の追い風市場にあるビジネスなら、

CEO席にハムサンドイッチを置いておいても事業は伸びるくらい、安心な投資先だ」

 

また、こういう例もある。

「大企業には、5年10年の未来を見ての巨艦のかじ取りは難しさはあるが、

役員が上から10人20人と飛んでも、明日急に潰れたりはしない。」

(私が昔在籍していた野村證券は、実際に過去に2回これをやったが、それでも当時はびくともしなかった)

 

中小企業は、ちがう。。。

社長がいなくなったら、1週間ももたない会社が殆ど。

いや、1日でつぶれるかも。。

その位、経営が難しい。

 

 

②統合 / ③買い手が主役

企業が買う時に出てくる特徴的な問題は「統合」である。

企業が買う時は、あくまで「買い手が主役」で、「自社の利益成長のために」買う。

(短期資本主義下では、買い手企業も株主から成長を求められるから、構造的にそうなる)

 

そうすると、買い手には、自社にとって都合がよいように、吸収した企業を分解して、

いいところどりする動機が働く。

(善悪の問題ではなく、構造的に、真面目で優秀な人ほど、それを追求してしまう)

 

買い手にとってはそれでいいのかもしれない。

が、買われた企業の従業員や取引先にとっては、悲劇だ。

 

しかも、それに気づいた時には、資本主義の王である「株主」はすでに買い手企業になっているから、時遅し。

買われた企業の社員に、もはや抗う手段は残されていない。

 

だから、企業の統合は、理論的には美しいが、現実には難しい。

実際、大企業同士でも、企業統合の成功率は17%に過ぎない。

それを、企業文化の異なる中小企業でやったら、、、失敗が多くなるのは自明だ。

 

 

企業が中小企業の事業承継をするには、

買収時の目利きや経営が難しい上に、

大企業では大きすぎ、中小企業がやるにはハードルが高いのだ。

 

そして、それを仮に乗り越えても、「統合(と買い手が主役)」、という、

大企業でも難しい難問が待ち構えるのだ。

 

 

この課題を解決するために、当機構は、企業とも似て非なるビジネスモデルを創った。

①独立企業として承継し、100年残す(統合を前提にしない)

②成長を求めない(現状維持でいい。中小企業は現状維持するだけでも大変だし、存在しているだけで価値がある)

③利益も出す(寄付で行うのは簡単だが、それでは小規模にとどまる。

事業にしなければ、日本の未来を変える大規模ではできない)

 

それが、当機構の事業です。