使命を果たす会社

先日の新聞に、目を引く記事が載っていた。

 

 

フランスが2019年に制定した新法に則り、

ダノン社が「使命を果たす会社(Entreprise à Mission)モデルを、

株主総会の承認を経て採択したのだ。

 

 

この「使命を果たす会社」というのは、

「株主価値の持続的向上と社会、環境問題解決の両立をはかることを、

定款に定める

という点がユニークで、資本主義の新たな取り組みと言えそうだ。

 

 

この制度を多くの上場企業が採用すれば、

自社の短期利益だけを貪欲に求めるアクティビストや

ヘッジファンドの活動は、

投資対象企業の定款により大幅に制限されることになりそうだ。

(短期利益を求めることは、定款に反する、と言われることになる)

 

 

これは、現代の荒んだ金融資本主義からの脱却への、

1つの選択肢になるかもしれない。

 

 

同社のミッション委員会に唯一の日本人メンバーとして選出された

水野弘道氏の下記のコメントも、また興味深い。

 

 

株主の長期的な価値創造と、社会、環境問題解決は

二律背反ではないというSDGs・ESG経営の考えを、

ダノンが実践していくことを期待しています。」

 

 

何が興味深いかと言うと、

「株主の長期的な価値創造と」という点が強調されているところだ。

 

 

ここが、実は今の金融資本主義の中で改善すべき、

重要な問題点の1つだからだ。

 

 

今の資本主義の劣化を招いているのは、

「早く、ラクに、自分だけ稼げばいい、という短期的な価値創造を求める株主だ」

ということを、暗に示しているように私には思えた。

 

 

現行の法制化では、

権利確定日の最後の1秒に株を持ってさえいれば、

(仮にその1秒後に株を転売していても)

100年間ずっと持っていた株主と全く同様に、株主権の行使が出来る。

 

 

そこに、「時の試練」という概念はないのだ。

その株主の悪平等が、抜け穴として悪用されている。

 

 

この抜け穴が、

アクティビストやヘッジファンドの増殖を招き、

身勝手な株主権の乱用を許している。

そして、悪貨が良貨を駆逐する形で、

企業経営の混乱を招いているのだ。

 

 

これを変える方法はないのか?

 

 

私は先日、とある方との面会で、

「今の金融資本主義を変えるには、どうしたらいいか?」

と聞かれて、2つこう答えた。

 

 

「①御社を非上場化すればいい。

非上場化すれば、資本主義の悪影響を抑えられる。

株式上場が夢やステータスだったのは、もはや過去の話だ。

いまや、SPACのようなからっぽの会社でも上場は出来るし、

世界の上場企業数は実はこの10年間ほぼ横ばいだ。

極度に上場にこだわりすぎないほうがいい。」

 

 

「②株主の権利を1日おきに累積計算し、

1株を365日間保有したら365票になるように、

法改正を働きかけてはどうか?

そうすれば、短期株主による権利の悪用を抑えられる。

そして、長期投資家の応援が経営陣に届くようになる。

そうすれば、経営陣も、長期的な繁栄を目指せるようになる」

 

 

②は制度問題だから、時間はかかるだろう。

紙と鉛筆で株主名簿を管理していた昔は技術的に不可能だったことでもある。

だが、計算能力が飛躍的に向上した現在の技術なら、可能なはずだ。

 

 

そしてもう一つ、

短期利益を求める雑音に惑わされずに、

使命を果たす方法がある。

 

 

世界的に、良い企業には、オーナー経営者の企業が多い。

オーナー経営者がよいのは、

株主と同様に、長期的な視点を持てるからだ。

 

 

当機構は、その使命を果たすために、

オーナー経営という道を選択した。

 

 

当機構には、

「中小企業5000社の承継者になり、

雇用・経済・安全を子や孫に残そう」

という使命がある。

 

 

そして、当機構のオーナーは、

さわかみグループとYamatoグループという、

使命・理念で合意した両社だ。

これにより、ブレることなく使命を追求できる環境を確保している。

 

 

当機構は今後も外部株主を招くつもりはない。

(VC等の株主は、早くラクにお金を得るには便利だが、

使命を果たすためにはいずれ障害になるからだ)

 

 

IPOを目指すつもりもない。

(IPOを目指さずとも、必要な資金や人材を集め、

事業を行うことは十分可能だ)

 

 

気付けば昨日で、

私が独立して最初の会社を設立してから、10年が経過していた。

 

 

次の10年も、さらにその次の10年も、

変わらずに使命を最優先していこう。

 

 

そのために、日々青臭く泥臭く、

仲間と共に全力で活動していこう。

 

 

子や孫の、未来のために。