資本主義ビジネスでは解決できない、という意味

先日の後継社長塾のあと、興味深いご質問を頂いた。

 

 

 

「御社は、資本主義を否定する立場なのでしょうか?」

というご質問だった。

 

 

 

答えは、もちろん否である。

 

 

 

約1年前に出版した書籍にも明記してあるが、

私は、資本主義は大変有用なものだと考えている。

(そもそも私が新卒で入った会社は、資本主義を代表する会社の1社だ)

 

 

 

資本主義のおかげで、世界は急速に進化し、

とても便利になった。

 

 

 

日本は、その資本主義の恩恵を、特に受けた国の1つだ。

 

 

 

18世紀イギリスの産業革命に端を発した資本主義の発展期に、

資本主義発展の重要な要素である人口の急増が重なり、

さらに我々の祖先の勤勉さや努力等によって、

世界史でも稀にしかお目にかかれないほどの奇跡的な経済発展を遂げ、

日本はわずか150年ほどで先進国の一端を担うほど豊かになった。

 

 

 

資本主義がなければ、日本はこれほど豊かになれていなかっただろう。

 

 

 

また、資本主義以外の有用な社会制度も、現時点では見当たらない。

代替案がない中でただ否定するという、無責任なことをする気も毛頭ない。

 

 

 

だから、我々は、決して資本主義を否定するものではない。

 

 

 

ただ、我々は「資本主義が万能だ」という風潮とも、一線を画している。

 

 

 

「資本主義は強力だが、万能ではない」と考えているからだ。

 

 

 

「あなたがパンを食べられるのは、

 パン屋の慈悲によるものではなく、

 パン屋が利益を求めるからだ」

 

 

 

上記の言葉によく表れている通り、資本主義は、

「私利私欲」をメインエンジンとする社会制度だ。

 

 

 

私利私欲の手が届く範囲のモノであれば、

それがなんであっても、強力にビジネス化する。

 

 

 

資本主義の神の手は、とても強力だ。

 

 

 

ただ、資本主義の神の手は、実は短い。

 

 

 

だから、届かないところも、たくさんある。

特に、「私利私欲」ではない「公利公益」の分野には届きにくい。

 

 

 

不幸なことに、

資本主義のおかげで社会が急速に大きくなった結果、

私利私欲だけでは解決されない問題もまた大きくなった。

(残念ながら、資本主義が原因で大きくなった問題もたくさんある)

 

 

 

先日の新聞に、

「世界の人々が東京に住む人と同じ暮らしをしたら、地球が3つ必要」

という記事が載っていた。

 

 

 

資本主義の世界では、

世界の人々は「私利私欲」のために、当然に生活の向上を望む。

(東京に住む以上の暮らしをしている人々を除いて、だが)

 

 

 

これまでも望むし、これからも、ずっと望む。

 

 

 

たとえ地球が持たないとしても、

資本主義は「私利私欲」を求め続ける仕組みになっている。

 

 

 

その結果は、どうなる?

 

 

 

子供「なら」わかる、簡単な話だ。

大人には不都合な真実かもしれないが、

真実は、たいていの場合シンプルだ。

 

 

 

この代表的な問題が、環境問題、格差問題、人権問題などだ。

(そして、当機構が取り組んでいる事業承継問題も、この1つだ)

 

 

 

これらは、すべて公利公益の問題だ。

 

 

これらは、

私利私欲を求める資本主義ビジネスでは「儲けにならない」から、

資本主義の中では解決しないのだ。

(私利私欲を求めるビジネスで解決出来るなら、

 これらの問題は、とっくの昔に資本主義の中で解決されていただろう。

 環境問題も事業承継問題も、30年前にはすでに指摘されていたのだ)

 

 

 

そして、いまやこの資本主義で解決できない問題は、

どんどん大きくなっている。

 

 

ある調査では、

世界の問題の過半を占めるようになったとも言われている。

もはや、

現世に生きる人々も、無視できない規模になってきたのだ。

 

 

 

では、これらの公利公益の問題に、どう対応するのか?

資本主義の暴走を放っておくしかないのか?

 

 

 

否。

 

 

 

有志は、

これまでもこれらの資本主義の神の手が届かない問題に、

真摯に取り組んできた。

 

 

 

どうやって取り組んできたのか?

 

 

 

「資本主義を否定する」

のではなく、

「補完する」

ことによって取り組んできたのだ

 

 

 

たとえば、「格差問題」には、「国連」をつくって取り組んできた。

「人権問題」には、「WHO」をつくって取組んでいる。

「貧困・医療問題」には、「赤十字」や「国境なき医師団」などが取り組んでいる。

 

 

 

資本主義の手が届かない「公利公益」の問題を解決するには、

資本主義ビジネスでは難しい。

だから、国際機関やNPOの形で取り組んできたのだ。

 

 

 

これが、当機構がいわゆる「営利ビジネス」としてではなく、

「ソーシャルビジネス」として取り組む理由である。

 

 

 

そして、これらはいずれも、「私利私欲」を求めていない。

カネ儲けを第一とし、IPOで億万長者になろうという私利私欲で、

取り組めることではないからだ。

(そんな公的機関やNPOがあったら、嫌だろう?)

 

 

 

目標という観点で言うと、

当機構が目指すのは、「GAFAMをつくること」ではない。

(私のスマホはApple製だし、会社のシステムはMicrosoft製だが)

 

 

 

むしろ、事業承継問題を解決するための「国連」や「赤十字」をつくることだ。

 

 

 

公利公益を目標とし、

かつ大規模に活動するという意味で、

当機構の活動は、いずれこれらの活動に近づいていくだろう。

 

 

 

そして、当機構の活動の本質は、

「ムーンショット」に近いと我々は考えている。

 

 

 

どういうことか?

 

 

 

人類が月へ行けたのは、

「資本主義の中で私利私欲を追求した結果ではない」

ということだ。

 

 

 

公利公益のために、

100手先の未来に必要な目標を設定し、

その壮大な目標を実現するために膨大な予算を用意し、

多くの人員の叡智と努力を結集し、

そして、度重なる失敗にもめげずに成功するまでやり続けたからこそ、

人類は月に行けたのだ。

 

 

 

そもそも最初は、「俺は月に行く!」とはじめて宣言した人と同じように、

一般の理解を得ることすら難しいだろう。

 

 

 

だが、それが必要なことなら、誰かがやるしかない。

(緊急性と重要度という意味では、事業承継は、

 月に行くことよりもはるかに重要だ)

 

 

 

そう考えて2年半ほど前に船出した当社にも、

少しずつ理解者が増えてきた。

仲間も、協力会社も、協力金融機関も、ありがたいことに毎月のように増えている。

 

 

 

昔、ある企業の創業者の方に教わった言葉がある。

 

 

 

「夢は大空に。努力は足元に。」

 

 

 

日々どれだけ多忙であろうと大志を見失うことなく、

足元の努力を大切にしながら、

今日も全力で仲間と共に進んでいこうと思う。